アガルートの合格祝いはモチベーションアップに逆効果

2312月 - による wpadmin - 0 - 通信教育について

無料で行政書士の資格をゲットするチャンス?

アガルートの行政書士講座では、合格したら全額返金という目を疑ってしまうような合格祝いが用意されています。

合格者の口コミにも表れているように、「無料で行政書士の資格をゲットするチャンス」と思ってモチベーションアップになったという人もいるでしょうが、全額返金のような高額報酬はモチベーションを下げてしまうのが普通なのです。

一般的に仕事に必要な資格を取得するための費用は非課税で、合格祝いは課税対象になります。行政書士試験合格後に開業すれば、受講料は経費として処理できるので、大きな負担にはなりません。課税される所得金額が900万円になったという時に、「そう言えば受講料を経費にできるんだった」と思い出して、課税される所得金額が890万円になったとします。所得税は900万円の33%から890万円の23%まで落ちるので、90万円以上節税することができます。

逆に、課税される所得金額が899万円で、何とか所得税率を23%でとどめることができたと喜んでいた時に、合格祝い分を含めると900万円を超えてしまうケースも考えられます。合格祝いがあったために、税金が90万円ほど多くなってしまうのです。

ばれなければ良いという考えは行政書士としての資質を疑われることになりますが、資質よりお金と割り切っても、合格祝いを貰ったことが税務署に発覚せずに済むものでなのでしょうか。

2種類ある合格祝いのうち、5万円返金の方はプライバシーをさらす必要はないので見つかりにくいでしょうが、全額返金の方はインタビューに答えて顔写真まで出す必要があり、合格祝いを申告していない場合は、税務署に見つかってしまうでしょう。

合格祝いが贈与に当たるのか、一時所得に当たるのか、雑収入に当たるのか、単純には判別しにくいので、税理士に相談するなど面倒な問題も出てきます。

後々大変なことになりそうで、モチベーションアップどころか、合格祝いそのものが欲しくなくなってしまいそうですが、モチベーションアップに役立つケースがあるのでしょうか。まずは合格者の口コミから検証しましょう。

アガルートの合格祝いの口コミ

予想通り、「タダで行政書士の資格を得られると思うとやる気が出た」という合格者の意見が散見されます。手放しで喜んでいるようですが、本当に喜ぶべきなのでしょうか?

あなたが見事行政書士試験に合格され、その経験を活かして行政書士講座を開講するとします。あなたが作成した教材が効果あるのかどうか実証するために、人を雇うとしましょう。

行政書士に合格するための学習時間は1000時間なので、時給1500円で雇えば、1人当たり150万円の支出になります。行政書士試験の合格率は10%程度なので、合格者を出すためには10人は雇う必要がありますし、10人では実験結果に疑問が残りそうなので、20~30人は雇いたいところです。

つまり、行政書士講座を開講しようと思えば、3000万円~5000万円程度の人件費が必要になるはずです。

ここでちょっと悪知恵を働かせましょう。

行政書士試験に合格すれば100万円の賞金が出るとして、100人のモニターを募集してみます。10人合格すれば1000万円の支出になりますが、3000万円賭けて雇った時の5倍もの人数で実験できます。

さらにマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公両津勘吉のようにあくどく稼ごうとすると、1位で合格した人に1億円プレゼントと銘打ってモニターを集め、自分で用意した弁護士に1位で合格させて丸儲けという方法もあり得ます。

さすがに1億円プレゼントなら数百人から数千人集まりそうで、配る教材の製作費がかかってしまいます。

そこで、教材を購入した人の中で1位になった人に1億円プレゼントにして、教材を10万円で1000人購入して貰えば、1000人の購入で1億円はプレゼントできるし、購入者の1番なら全体の1番より楽と考えて購入する人が増えそうです。

しかし、用意した弁護士が正義感に駆られて受験を辞退したり、ミスをして1番を取れない可能性もあります。さらに、グループを作って不正を行い、1億円を貰おうとする人たちも出てくるはずです。最悪1人の購入で1億円支払い確定、という状況もあり得るので、リスクが大き過ぎます。そこで、報酬を大きく下げることを考えるはずです。

一般的に、やりたくないことを行わせる「強制的応諾」と呼ばれる状況では、報酬や罰、正当化が必要とされます。行政書士試験を受験したくない人に受験させることは「強制的応諾」に該当するので、報酬や罰、正当化が必要なのですが、罰を与えるわけにもいかないですし、「行政書士試験を受けるのが正しいことだ」と主張しても聞いてもらえません。

逆に、やりたいことをするだけなら報酬や罰、正当化がなくても問題ありません。行政書士試験を受験する決心をしている人、特にあと少しの所で不合格になった人はある程度障害があっても受験するはずです。

ただし、合格するために教育機関を使うなら、LECやフォーサイトといった定評のある企業を選択するのが合理的なので、他の教育機関を利用するのは「強制的応諾」に該当します。

以上から、あなたが開講する行政書士試験講座を受講してもらうには、LECやフォーサイトから移ってくれるだけの報酬を用意すれば済むはずです。

「合格したら受講料タダ」くらいの報酬で十分なのではと思いませんか?

本来なら時給を払って雇うべきところを、合格祝いだけで済ましてしまうのは、やりがい搾取と言っても良いほどです。単なる宣伝広告なのか、それともいわゆる「肉屋を応援する豚」なのかは分かりませんが、モチベーションが上がったという口コミは、疑問が残るものです。

アガルートの合格祝いがモチベーションアップに役立つかどうかも検証しましょう。

アガルートの合格祝いはモチベーションアップにならない理由

アガルートの行政書士講座の合格祝いがモチベーションアップになったという合格者の声は、事実だとしても、残念ながら少数派と考えられます。一般的に、報酬の額が上がれば、モラルハザードを起こすと言われています。

合格祝いが1000円なら、行政書士の資格にお金もプラスされるんだと思って多少のモチベーションアップになりますが、合格祝いが1億円ならあなたはどう考えますか?

カンニングや替え玉受験などあらゆる不正を試みて1億円を手に入れようと思いませんか。このように、報酬が高額になると、報酬を得ることが目的となり、違法な手段をとる可能性も出てくるのです。

アガルートの行政書士講座の合格祝いは全額返金なので、15万円程度の報酬になります。賃金が上がらない今の日本では1か月分の給料にも見えてきます。現在無職の人なら、1ヵ月で合格すれば就職活動しなくて済むし、行政書士の資格も得られるので魅力的に映るでしょう。時給1000円で週40時間、4週間働けば16万円になるので、150時間程度の学習で合格すれば、時給1000円で働くよりお得になります。

しかし、行政書士試験の合格率は1割程度なので、1回受験して貰える報酬の期待値は1万5千円と大幅にダウンしてしまいます。15時間程度の勉強で合格するならともかく、行政書士試験に合格するためには1000時間必要とされるので、割に合わない報酬と感じるのが普通です。

それでもなお合格祝いが魅力的に映る人は、合格まであと少しの人か不正行為を前提としている人だけでしょう。

例えば、あなたが昨年あと2点足りずに不合格だったとします。ネットを見ていたら、アガルートの行政書士講座の広告が出てきて、合格祝い全額返金と書いてあります。「無料で昨年の雪辱を果たすことができる」と感じて、モチベーションが上がったと感じるのではないでしょうか。

アガルートの行政書士講座を申し込んだとしても、即学習開始にはならないはずです。15万円程度のお金を使っているのですから、不合格になっては大損してしまいます。勉強するよりも不合格にならない方法を探すことになります。

昨年2点足りなかったのは、商法を捨てていたからとしましょう。商法をまじめに勉強するのは大変ですが、薄いテキストで6割取れるものがあれば十分合格ラインを超えることができます。

情報を探していくと、フォーサイトのテキストが薄く、それだけで5問中3問正解できることを見つけるでしょうが、フォーサイトの行政書士講座まで受講するとお金がかかり過ぎます。

そこで、オークションを使って教材を手に入れようとするでしょう。アガルートの行政書士講座を受講して手に入れた教材をオークションで売ってしまえば、利益も出そうです。

この行動は合理的です。合格目前の人なら、アガルートの行政書士講座の厚いテキストや何度も聞いて理解しなければならない講義動画、難解な他資格セレクト問題集を使うより、手軽な方法であと数点を稼ぐ方法を考える方が効率的だからです。

合格者の声を見ても、複数回受験して、他社の行政書士講座を受講していた人も少なくなく、全国模試で上位だったにもかかわらず浪人した人を無料で通わせる予備校の手口のような気もします。

受験生がどのような行動をとっても自由と思うかもしれませんが、合格目前の人がこのような行動をとって合格祝いを貰うとすると、初学者などの合格まで遠い受験生が不公平感を抱くはずです。

合格祝いの原資は、合格者が1円も支払わなくて良くなることから、不合格者の受講料で賄われることになります。合格者が1割程度なら、不合格者の受講料から1割程度ずつ負担すれば済みますが、合格者が7割になると、少子高齢化問題と同じように、3割の不合格者で7割の合格者を支えるという構図になってしまいます。

アガルートは合格祝いを考慮して受講料を決めているはずで、不合格者は行政書士講座の本来の価値よりかなり高額な受講料を負担していることになります。教育訓練給付制度の対象にもなっていないため、初学者にとっては非常に不公平感の高い講座になっているのです。

不公平感はモチベーションを下げるので、一般的にはアガルートの行政書士講座の合格祝いはモチベーションを下げるものなのです。