行政書士試験の難易度と試験範囲の広さの関係
法律系資格試験の試験範囲
「試験範囲の広い試験は難しい」と言われることがある。勉強に取り組みにくいということは、確かに言えるかもしれません。参考までに、法律系資格試験の試験範囲をまとめてみます。
資格 | 試験科目 |
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司法書士 | ・憲法、民法、商法、刑法 ・不動産登記法、商業登記法(登記申請書作成知識を含む) ・供託並びに民事訴訟、民事執行及び民事保全法・司法書士法 |
社会保険労務士 | ・労働基準法及び労働安全衛生法 ・労働者災害補償保険法 ・雇用保険法 ・労働保険の保険料の徴収等に関する法律 ・健康保険法 ・厚生年金保険法 ・国民年金法 ・労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 |
行政書士 | ・憲法、民法、行政法 (行政法には、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を含む) ・基本法学、商法 ・一般知識 |
宅地建物取引主任者 | ・土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、 構造及び種別 ・土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令 ・土地及び建物についての法令上の制限 ・宅地及び建物についての税 ・宅地及び建物の需給に関する法令 ・宅地及び建物の価格の評定 ・宅地建物取引業法及び同法の関係法令 |
FP技能検定試験2級 | ・ライフプランニングと資金計画 ・リスク管理 ・金融資産運用 ・タックスプランニング ・不動産 ・相続、事業継承 |
ビジネス実務法務検定試験2級 | ・ビジネス法務の実務 ・取引を行う主体 ・会社取引の法務 ・会社財産の管理と法律 ・債権の管理と回収 ・企業活動に関する法規制 ・会社と従業員の関係 ・ビジネスと個人のかかわり ・紛争の解決方法 ・国際法務 |
こんなふうに並べてみると、試験の特徴が見えてきます。
各試験の特徴
司法書士試験は、試験に関係する法令数は多いが、民法と商法を中心として、民事訴訟、民事執行・・・と、何となく関連している法令です。社会保険労務士試験も同様、法令数が多く、労働関係と社会保険関係に二分されてはいるものの、何となく相互に関連する法令のようです。
宅地建物取引主任者試験は、民法の権利関係や不動産に関する法令中心で、かなり科目の統一性がある試験であります。FP試験は、バラバラの科目のようにも見えるが、これは実は全て資産に関係する事柄です。
行政書士試験はばらばら?!
こうして見ていくと、一番、科目同士の関連が薄い試験は、行政書士試験なのではないかという気がしてきます。基本的な法令が主にはなっているが、ちょっと、試験科目がバラバラなのです。
確かに、一つ一つの問題は、それほど難解ではないかもしれません。民法ひとつとっても、司法書士試験の民法と比べれば、行政書士試験の設問は易しいと思われます。というか、問題文を見てみればわかるのですが、行政書士試験の方が、絶対に問題が易しいです。
しかし、「狭く、深く」が得意で、「浅く、広く」が苦手な人というのが、現実に存在します。浅く広くやるよりは、狭く深く、マニアックな試験が得意な人がいます。
つまり、行政書士試験というものは、他の法律系資格試験と比べると、何というか、つかみどころがない性質があります。結局は、試験範囲が広いということです。
範囲が広いと、勉強はしづらいものだ。「一般科目なんてものはなくして、行政法あたりをもっと難解にしてくれた方が受けやすいよ!」と叫びたい受験生、結構多いんじゃないかと思います。